トッド・ズッカーマン “サウンズ & チョイスィズ” – モア メソッド & メカニクス 和訳 – 第4回

Todd Sucherman:  “Sounds & Choices” – More Methods & Mechanics – from Drumeo Youtube Channel (Japanese Translation)

“観た” だけでは “出来た”にはならない

37:45~

そういえば、これはショックだなと思った事があった。ギグ(プロの仕事)を持っている生徒達にレッスンで「片手で16ビートを刻んでみてくれ」と言ってみた。そうしたら2~3人は肩を強張らせてやっていたんだ。(38:06)
強張らせてやる16ビートはセクシーではない。
私は自分で シャンク チップ モーション/ Shank -Tip Motion と呼んでいるテクニックを使っているんだ。(38:32)

君のライブを見てる女子達はこっちのスムーズに16ビートを刻んでいるドラマーを見たいと思うだろうね。最初の肩を強張らせて頑張ってる奴じゃない。
シャンク チップ は アップダウン ストロークとは別物だ。
入れて – 抜く / IN – OUT (DIP & WRIST) の動き
なんだ。肩を強張らせてやっていた生徒には私の Method & Mechanics の DVD を観たか?ハイハットのセクションでシャンク チップについて話してただろう?と聞いてしまったよ。

もう一度言うけれど、“観た” だけでは “出来た”にはならないんだ。深く考えてじっくりと練習して習得しなければ、できる様にはならないよ。 シャンク チップ モーションに関してはすぐにピンと来る人は少ないかもしれないね。投げて拾う、ステーキを切るよう様に、フェンシングみたいに、機関車の車輪についている棒の様な動き、と言う様な抽象的な表現をする事が多いから。とにかく、落とす動きの後次の音で引くんだ。最初はやり過ぎと言う位ゆっくり大きく動きを練習してみると良いだろう。(40:00)

この動きを習得してしまえば、一晩中疲れる事無く演奏できるだろうね。ジェフ ポーカロ の様なサウンドだよね。シャンク チップをやっている時は、手はダウンビートを感じているね。(40:33)

この考え方は、ドラムセットの他の部分でにも使える考え方だ。シャンク チップ の話であれば、このテクニックを習得してしまうとそれが君の既存の演奏方法になって他の間違った奏法が癖になtたり、それに戻ったりする事は無いだろう。 なぜなら君のハイハットがシェイカーの様にとても自然で音楽的なサウンドになるからだ。シャンクチップが出来るプレイヤーの演奏を聞いたら 「アイツは上手いぞ」とすぐに気がつくね。

42:00~

良いサウンドについてもう一点付け加えるけど、クロススティックをやる時は バットエンド (持ち手側)を使う様に。シャフトを使ってやる時よりも単純に良い音が出るんだよね。ヴィニー カリウタがクロススティックをやる時は “カッ” と心地良い (Clave Pop / クラーベ ポップ と彼が呼んでいる) サウンドがするよね。エンド側を使っているから出せるサウンドだよ。

演奏する時は体と心の両方で沢山の魔法が起こっている

43:00~

Q:  “良いサウンドで演奏する” は ルーズでいる事、楽器を正しくセッティングする事、正しい姿勢で演奏する事 など本当に基本的な所を再認識させてくれますね。『”Not So Basic, Basics” / そんなに簡単では無い基礎』と始めに言って下さったのはとても的を得ていると思います。
ただ、これらは重要なコンセプトなのに忘れがちになってしまいますよね?

A: 私自身も忘れてしまう事なんだよ! もし時間を戻してもう一度やり直すことが出来るなら、もっと多くの時間を今話している事に費やすだろうね。『この事はみんな既に知っているだろうから…』と思い込んでいて… 話はするけど時間を割く事はあまりしていなかった。『ちょっと待てよ、実はこの話をちゃんとしている人はほとんど居ないかもしれない』と思い始めたのはドラムキャンプなど国内外で教える事が多くなってからなんだ。

Q (Dave): 僕も同感で、一つのパターンが出来る様になったらすぐに次のパターンの練習を始めたいと思っているドラマーをよく見かけます。今僕たちが話をしている 『”The How” – どんな・どうやって』と言う事に意識を向けている人がとても少ない印象があります。どんなサウンドなのか、どの様にそのサウンドになる様に演奏しているのか、一つのビートでもやり方は沢山ありますよね。同じビートでも違うドラマー達が演奏したら十人十色のビートになります。

A (Todd): 個々の鼓動、叩き方、が違うからね。演奏する時は体と心の両方で沢山の魔法が起こっているんだよ。ドラムのサウンドに反映される大きな要因だと思う。

毎回演奏する度に音楽は生まれ変わらなくてはならない

私は年に100本以上の公演を行うバンドに在籍しているけど、『どうやって精神的な新鮮さを保っているのか?』 と言う質問をよく受けるよ。同じ曲を何度も演奏するので、飽きたりしないのか?ってね。

いつも考えるのは、「今日のお客さんは必ずしも昨日のお客さんと同じ人達ではないんだ。彼らはこのバンドを観るのは初めてかもしれない。私の演奏を観るのが初めてかもしれない。中には我々のライブを3ヶ月以上も前から心待ちにしている人だっているかもしれない」と言う事。彼らを目の前にして 「もう17公演連続だ。数日でも良いから家に帰ってゆっくりしたいよ。」なんて気持ちを少しでもステージに持って行くなんて絶対に許されない。

まず、自分のドラムを大好きでいる事。ドラムセットの前に座ったら、クリスマスの朝の子供の様にならなきゃね。こんなに素晴らしいドラムとシンバルを叩けるなんて信じられない!ってさ。

次に、お客さん達の為に演奏する事毎回演奏する度に音楽は生まれ変わらなくてはならないんだ。その為には演奏している君自身、ライブが目の前で起こっている生き物、そしてその興奮を彼らに伝えなくてはならない。覇気がないバンド演奏しているバーがあって、後で別のバーに行ったらむちゃくちゃカッコいい演奏してるバンドが居た、なんて事があるのはコレが理由さ。

1999年に ブライアン ウィルソンのソロツアーに参加していた。 Fun Fun Fun や Surfing USA と言った 沢山のバンドに何千、何万回 とカバーされてきた曲を演奏していたんだ。じゃあなんで今回のツアーで同じ曲をやっているのが特別なんだい?この曲達を作って歌った本人と一緒だからだよ!!! この興奮を伝えなくちゃならない。どこぞのカバーバンドがやっている訳ではないんだ!『あの本人が目の前で歌ってるなんて信じられない!』とお客さんに思ってもらわないとね。毎回演奏する度に音楽は生まれ変わらなくてはいけないんだ。

魂が自分をいざなってくれるから難しいと感じた事はない

47:31~

Q: 毎回その精神状態に自分を持って行くのは難しい事ですか?それともやれてしまう物なのでしょうか?

A: 魂が自分をいざなってくれる。だから難しいと感じた事はないよ。具合が悪かったり、手が痛かったりする事もあるよね。そう言う時は他のバンドメンバーの顔を見る。『よし!俺たちがやってやるんだ!』と言う気持ちになるよ。そう考えると Styx のメンバーはすごいよ。彼らは私より20歳も年上なのに毎回全身全霊でライブをするんだ。ネブラスカの球技場だろうとニューヨークのアリーナだろうと関係ない。観客はみんな同じショウを観る事が出来る。私は常に彼らに追いつかなくちゃいけないんだ。

翻訳: Aran Alcaraz Nagashima